GOZKI MEZKI

@sophizm の上から涙目線

著作権保護期間70年と「君が代」

著作権の保護期間が70年になるということ。


世界の平均寿命が68歳なので、著作権の寿命は平均的人生より長生きする。






著作権の保護期間が70年になるということ。


70年前になにがあったか。1941年、和暦で言うと昭和16年。東條英機内閣総理大臣となり、東條内閣を組閣したのがこの年の10月。もちろん、戦争より前の話だ。ちなみに「君が代」に曲が付けられたのが明治維新後の明治13年(1880年)。




著作権の保護期間が70年だったら。


著作権の保護期間が70年だったら、君が代著作権は、いつ切れていたのだろう。君が代の作曲者は林廣守*1と言われている。国旗及び国歌に関する法律に載っている譜面にも、林広守作曲と示されている。林廣守は1896年に亡くなっているので、1966年に君が代著作権が切れる計算になろうか。東京オリンピックの2年後、特撮テレビドラマ『ウルトラQ』放映が開始された年でもある。

ところが、wikipediaによると君が世の曲は林廣守の単著ではなく、林廣守、奥好義、フランツ・エッケルトの共著、つまり共同著作物であったようだ。共同著作物の保護期間は、最後の著作者が亡くなってから70年ということになる。この3人の中で最も長命だったのは奥好義で1933年に亡くなっている。

1933年。

著作権の保護期間が70年だったら、君が代著作権は2003年まで存続していた計算になる。2003年までは君が代を公衆で歌うことは著作権法第22条上演権を侵害していたかも・・・しれない。



もちろん、著作権法には権利制限の項目が用意されている。著作権法第38条第1項本文には次のように書かれている

公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。

多くの国民にとって、国歌斉唱は営利を目的としないので上演権侵害にはならないだろう。しかし、一方で38条1項但書には、

ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。

とあり、報酬を受け取って国歌を歌っていたアーティストなどは怪しいものだ。





著作権の保護期間が70年になるということは、明治の著作物が21世紀まで著作権が切れず利用が不自由に制限されるということだ。











ちなみに・・・。
著作権の保護期間が70年だったとしても、君が代は1999年以降、どのような使われ方をしようとも権利侵害とはなりえなくなった。なぜか。前述の国旗及び国歌に関する法律が制定され、君が代の楽譜が法令の一部となったからだ。著作権法は、権利の目的とならない著作物として法令を挙げている(13条1号)。そのため、君が代は1999年を以って著作権が存在しないことになったと考えられる。

もう一つ興味深いのは、君が代著作権は1999年までは存在していたとして、法令が施行された途端にその著作権が消滅するのか否か。それは、遡及して消滅するのかその時点から以降消滅するのか。仮に消滅するとして、それは著作権という財産権の侵害にならないか。国歌を法定化することに公共の福祉目的が本当に存在するのか。気になるところだ。

*1:「林広守」と「林廣守」の揺らぎは出典その他の表記に由来します。

ジョン・ケージ「4分33秒」に原盤権は発生するか。

※屁理屈注意



ジョン・ケージの有名な作品で「4分33秒」というものがあります。このあまりにも有名な作品にも、他の音楽と同じように著作権法にいう、いわゆる「原盤権」が発生するのだろうか。


原盤権(げんばんけん)とは、一般に、音楽を録音、編集して完成した音源(いわゆる原盤、マスター音源)に対して発生する権利のこと。日本の著作権法では、「レコード製作者の権利」(第96条〜第97条の3)として規定されている。

原盤権 - Wikipedia - http://goo.gl/ZXtcI

レコード製作者の権利
(複製権)
第九十六条 レコード製作者は、そのレコードを複製する権利を専有する。
送信可能化権
第九十六条の二 レコード製作者は、そのレコードを送信可能化する権利を専有する。

著作権法 - http://goo.gl/aAvqZ

原盤権のポイントは、録音されたものが「音楽」ないし「音楽の著作物」であることを必須の要件としていないことで、著作権法第2条第1項第5号によると、レコードとは「レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの」のことを言うと定義されています。つまり、音楽でなくても音が固定されてさえいれば、鳥の鳴き声だろうが旦那のイビキだろうが<自粛>だろうが<--検閲削除-->だろうが、それは「レコード」ということになりそうです。

では、アメリカ出身の音楽家であるジョン・ミルトン・ケージ・ジュニアことジョン・ケージの作品「4分33秒」であってもそれを録音したものはレコードなのだから、レコード製作者は「原盤権」を持つのか?っていう。


まずは、自分で「4分33秒」を録音してみたので、ジョン・ケージの「4分33秒」がどんな作品かご存じない方は、下の動画を見てください。穴埋めのためなので、映像は関係ないです。


※このレコードの原盤権はレコード製作者であるsophizmに帰属します。本動画は原盤権を保持するレコード製作者sophizmが有する送信可能化の権利に基づきアップロードされたものです。なんつって。



ジョン・ケージが書いた楽譜は以下のようなものです。

第1楽章
休み
第2楽章
休み
第3楽章
休み

つまり、「4分33秒」とは4分33秒に渡る『無音の音楽』なのです。



原盤権の話に戻ります。レコードは音が固定された場合に生じるので、無音で構成される「4分33秒」は音が固定されたとは言えず、普通に考えれば原盤権は生じなさそうです。ところが、ウィキペディアによる「4分33秒」の説明によると、

この曲は、いわゆる「無」を聴くものというよりも、演奏会場内外のさまざまな雑音、すなわち、鳥の声、木々の揺れる音、会場のざわめきなどを聴くものとされている

とあり、「4分33秒」の録音物には必然的に鳥の声、木々の揺れる音、会場のざわめきなどが含まれることになるはず。つまり、無の音楽だけど、無音のレコードではない・・・・と。なので、ジョン・ケージの「4分33秒」に原盤権が生じても不思議ではない、と思うんです。









これだけで終わってしまうのも気持ちが悪いので、もう少しひねくれて考えてみようかと思います。仮に例えノイズであっても有音部分に原盤権が生じるとして、無音部分には原盤権が生じないのでしょうか。つまり有音部分と無音部分は分けて考えても良いのか、それとも有音部分を含む全体を一つの原盤権と考えるべきなのでしょうか。ごく僅かな一瞬の音と、膨大な無音部分で形成される録音に権利を与えてしまうのは感覚的に変だと思いますよね。例えば音楽のCD音源を使ったとして、それが最初から最後までではなく音源の一部を使った場合でも原盤権にひっかかる余地はあるはずです。もし、無音部分を含む全体を一つの原盤権とした場合、全くの無音部分をもって権利主張しうる余地を与えてしまう可能性があります(もちろん全く現実的ではありませんが)。では、有音部分に限って原盤権が生じ、それぞれの有音部分毎に原盤権があると考えるとどうか。この場合困るのは、ごくごく普通の音楽のほうではないでしょうか。いわゆる「ブレイク」は”演奏中、リズムやメロディが一時的に停止した空白部分のこと”で、例えば松任谷由実の「春よ、来い」で使われていたりするわりと一般的な技法だと思いますが、もし有音部分毎に原盤権を認めるとすると、ブレイクの前後で別の原盤権が発生するのか?という問題が生じてしまうんじゃないでしょうか。



もちろん、実際に裁判で無音部分を根拠に原盤権侵害を主張したとしても間違いなく負けるでしょう。ただ、想像を膨らませて楽しいのは、裁判所がどういった理由で主張を退けるか、ですよね。「原盤権が発生しない」なのか「原盤権は存在するが、主張できない」なのか「両音源の無音部分は同一ではない」なのか、それとももっと別の理由か・・・。


ちなみに、『4' 33"』はCAGE JOHNの作曲作詞とJASRACの検索では出てきます。著作権もあるのかしら?w

男と女のラブゲーム -国政編-

国民『車のエンジンがかからないの…』
政府『あらら?バッテリーかな?ライトは点く?』
国民『昨日まではちゃんと動いてたのに。なんでいきなり動かなくなっちゃうんだろう。』
政府『トラブルって怖いよね。で、バッテリーかどうか知りたいんだけどライトは点く?』
国民『今日は○○まで行かなきゃならないから車使えないと困るのに』
政府『それは困ったね。どう?ライトは点く?』
国民『前に乗ってた車はこんな事無かったのに。こんなのに買い替えなきゃよかった。』
政府『…ライトは点く?点かない?』
国民『○時に約束だからまだ時間あるけどこのままじゃ困る。』
政府『そうだね。で、ライトはどうかな?点くかな?』
国民『え?ごめんよく聞こえなかった』
政府『あ、えーと、、ライトは点くかな?』
国民『何で?』
政府『あ、えーと、エンジン掛からないんだよね?バッテリーがあがってるかも知れないから』
国民『何の?』
政府『え?』
国民『ん?』
政府『車のバッテリーがあがってるかどうか知りたいから、ライト点けてみてくれないかな?』
国民『別にいいけど。でもバッテリーあがってたらライト点かないよね?』
政府『いや、だから。それを知りたいからライト点けてみて欲しいんだけど。』
国民『もしかしてちょっと怒ってる?』
政府『いや別に怒ってはないけど?』
国民『怒ってるじゃん。何で怒ってるの?』
政府『だから怒ってないです』
国民『何か悪いこと言いました?言ってくれれば謝りますけど?』
政府『大丈夫だから。怒ってないから。大丈夫、大丈夫だから』
国民『何が大丈夫なの?』
政府『バッテリーの話だったよね?』
国民『車でしょ?』
政府『ああそう車の話だった』

国民『友達との約束の時間にもう間に合いそうにないわ』
政府『ライト点いた?」
国民『なんの?』
政府『車の』
国民『あっ 屋根のライトついた』
政府『屋根?』
国民『聞こえなかった?』
政府「・・・いや、聞こえたけど』
国民『じゃどうして聞き返すの?』
政府『・・・ごめん』
国民『ごめんじゃないわよ。急いでいるのに』
政府『えっと、屋根って室内灯のこと?』
国民『ちょっと待って、友達に電話するから』
政府『あ、うん、OK』
国民『もしもし、あ、あたし。車壊れちゃってさぁ』

  • 8分経過 -

国民『うん、そういうわけだから、じゃまた掛けるねー』
政府『終わった?』
国民『なにが?』
政府『・・・いや、いいや。で、室内灯はつ・・・』
国民『ちょっと待って、いいやってなに?』
政府『は?」
国民『あのね、確かに私はあなたに助けてもらっているかもしれないよ』
政府『いや、大したことじゃないし・・・』
国民『でもね、困っている人を助けるのってフツーじゃない?』
政府『・・・』
国民『助けてやってるみたいな感じで、いやいいとか馬鹿にしてるの?』
政府『・・・』

著作権法30条1項3号を読み上げると著作権が発生するのか。

先日、ここでもとりあげたRIAJ主催の著作権法30条1項3号読み上げコンテスト、声優の林原めぐみさんがカオスユニークな読み上げをして、本題とは別筋で妙に盛り上がりつつあるようです*1


ところで、キャンペーンの募集要項によると

応募作品の著作権は応募者に留保されますが、以下の内容で、無償で利用されます。
 キャンペーンサイトを含む当協会ウェブサイトへの掲載(優秀作品のみ)
 当協会機関誌への掲載(優秀作品のみ)

となっており、読み上げた作品(?)の著作権が気になるところ。読み上げごときに著作権が発生するのか、そもそものところから少なからず疑問に思うわけです。


そこで、少し考えてみるに、

  1. 著作権法第30条第1項第3号は著作物か
  2. 著作権法第30条第1項第3号の読み上げは著作物か

の2点が大きな問題として有りそうに思えます。


まず、著作権法第30条第1項第3号が著作物か。この点からして一大論点で、中々難しいものを孕んでいるんじゃないかな。
著作権法第13条第1号によると、

(権利の目的とならない著作物)
十三条 次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。
 一 憲法その他の法令

と書いてあって、法令には著作権が発生しないことが明らかなのね。でも、このことから法令の「著作物性」が否定されるわけではないので、結局、当該法令が”思想又は感情を創作的に表現したもの”と言えるかどうかを検討してみないことには始まらない。私の環境では法令に著作物性が認められた判例や裁判例があったのか見つけることができなかったんだけど、ある知財の教授にTwitterで質問をさせてもらったところ、「規範内容さえ決めればシンプルな表現なので、創作性は微妙」という”感想”を頂いた。感覚的にもそれほど高尚な表現でなく、法律上保護すべき要請が高い表現ではないと私も思うので、著作物性は認められにくいのではないかなぁと思うわけです。




で、じゃあ、仮に著作権法第30条第1項第3号に著作物性が認められたとして、その読み上げに著作権が発生するの?ってところ。例えば『音楽』には著作権があって保護されてるけど、音楽の著作権というのは「音の羅列」(及び場合によっては歌詞)そのものに発生していて、それを誰が歌唱しようが歌唱自体に別途著作権が発生することはまずないかと。誰ひとりとして実際に歌っていなくても、音楽に対する著作権は発生しうるわけです。同じように、文学作品の朗読も朗読者の個性は表れていないと評価され、創作性が認められないため朗読者の著作物としては保護されないはずです。読み上げたもの(を録音や録画したもの)が、著作権法第30条第1項第3号自体の著作物と別途の著作物と言えるために重要なのは、その読み上げ自体に「創作性」が加味されているか、というところ。そのためには、創作ダンスをしながら読み上げるとか、自作の音楽にのせて読み上げるとか、そういうレベルのことをしないと難しいはずです。その意味では、林原めぐみさんの読み上げに著作権が発生してないんじゃないかしら。


著作権」とは著作権法21条から28条までに規定する権利のことを言う(17条)ので、よっぽどのことがないかぎり応募作品に著作権は発生せず、募集要項にある規定はどのようなものを想定したのかしら?ということに。

とはいえ、著作権法著作権ではないが、読み上げについても保護しているわけで。いわゆる著作隣接権の実演家の権利。そこで、今ひとつはこの実演家の権利が発生するのか、検討してみる必要があります。



著作権法第4章第2節は実演家の権利について定めています。実演及び実演家とは

著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)

俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行なう者及び実演を指揮し、又は演出する者


おそらく、著作権法第30条第1項第3号の読み上げは実演なので、応募者は実演家の権利を持っているんじゃないかなと思います。ここで問題になるのは、著作権の目的とならない(13条1号)著作物が、隣接権の目的となるか。つまり、仮に著作権法第30条第1項第3号が著作物であったとしても、13条1号が著作権は生じないよ!と言っているのに、隣接権を与えて良いのかという法問題に突き当たります。これ、しっかりと検討すると論文書けちゃいそうなのであまり深く考えませんが、条文をそのまま文面通り捉えるならば隣接権の成立は否定していないので隣接権が成立すると言えることになるんだろうな、と。ただ、著作権を間接的に保護しようとする著作隣接権の趣旨に鑑みれば、著作物自体が保護されていないのに、その隣接領域を保護する必要性は低いと判断してもおかしくないのだと思います。13条の趣旨を見ても、否定する方向に働くでしょうね。




で、結局どうなるかというと、

  1. もし著作権法第30条第1項第3号に著作物性があって
  2. さらに13条の存在にも関わらず隣接権が否定されないなら

応募者に「実演者の権利」が発生する可能性があるわけです。



応募要項に書いてある「著作権は応募者に留保されるが、以下の内容で、無償で利用されます」という文章から、著作権についての利用許諾だけでなく、著作隣接権の許諾も与えたと読み取ることができるのかしら??

*1:本当か?!

turntableの著作権的リスクについて考えてみた。

turntableが面白い。
もう、抜け出せず寝不足しかねない面白さ。


ポイントはもちろん音楽共有なのだろうが、なにより”を共有していること”の快感がある。知らなくてもノリにあった曲を流せばしっかりと反応が返ってくる。Awesome/Lameのシステムもいい。Awesomeを貰えばDJ pointが上がるものの、Lameを貰ってもpointは下がらない。その代わり、曲がskipされる。これがまた、場の空気を醸成していく。


この手の「クラブハウスをネットに持ち込むソーシャルネットサービス」自体は私でも容易に思いつくものの、2つの意味でネックがあったと思う。


1つは、本当に面白いのか?という疑問。これはturntableがその魅力を証明してくれた。もう1つは、そう、権利問題。著作権処理をどうクリアしていくか。音楽が好きで、音楽をソーシャルで盛り上げて行きたい、そう思っても権利問題をどうしたもんか・・・。特にレコード会社が持つ原版権の処理。


この問題は、もちろんturntableでも付きまとう。
昨夜、少し触れてみて、turntableの著作権的問題について考えてみる。


まず、turntable自信は知的財産に対するポリシーをどのように考えているか。
turntableのコピーライトポリシーはこれ。
http://turntable.fm/copyright/

基本的にはDMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づくいわゆる”Notice and Take Down”をするとなっているようだ。

ノーティスアンドテイクダウンとは、著作権に関する手続きの概念のうち、プロバイダ(インターネットサービスプロバイダ)が著作権者から通告を受けた際に、当該コンテンツを速やかに削除し、また、コンテンツの発信者に通知を行う、という手続きを含んだ一連の流れである。

Notice and Take Downの意味 - 英和辞典 Weblio辞書 http://bit.ly/mU4WKe

じゃあ、違法コンテンツ流し放題か!というと全然そういうわけではなく、medianetののストリーミングカタログをライセンスしているらしい。medianetのストリーミングカタログには

など多くの権利者がContent Partnersとなっている。つまり、少なくない洋楽が合法的に提供されているようだ。



とはいえ、日本でJASRAC等の許諾は得ていないだろう。この点はどう考えるか。


ストーリーミングは公衆送信権であろう。公衆送信権とネットサービスに関しては難しい問題がある。著作権法属地主義を採用している。

法律の適用範囲や効力範囲を、一定の領域内についてのみ認めようとすることをいう。たとえば、我国の特許法や商標法、著作権法が適用される領域は日本国内のみである。

知的財産用語辞典 - http://bit.ly/lsr6yN

公衆送信権の場合、公衆送信行為が権利にかかり、受信は問題でないため、字義通り捉えれば「発信国法主義」で米国法が適用されるはずだ。ただこれには利用の実態?をして「受信国法主義」も唱えられている。その場合は日本の著作権法が適用される可能性があり、turntableもJASRAC等から許諾を受けなければ違法になる可能性がある。個人的には受信国法主義は無理筋だろうと思っている。特に罪刑法定主義のもと、刑罰法規としての側面を持つ著作権法が利用の実態?をして適用を半ば拡大するのは、危険ではないかなと思うのだ。
この点、恐らく表立って問題になることはないと思う(願う)ところだが、pandoraのように邦楽曲を流さず、アメリカの企業がアメリカのサーバで、ストリーミングを行っていたサービスであっても、著作権に配慮して、日本国でのサービス提供を途中からシャットアウトしており、どのようになるか、色々な考えができるところでもあるのだろう。



一方で、利用者としては公衆送信行為をしていないのであまり問題にならないだろう。それ以上に、もっと重要な問題点はあるのだが、これは後述。


利用者が公衆送信権侵害の共犯にならないか。発信国主義に従えば、典型的な「正犯なき共犯」という類型であろう。通説的には、正犯なき共犯は認められない。受信国法主義に従えば、共犯もありうる。しかし、それは受信国法主義を採るという大きな壁を乗り越えた先のことで、利用者のリスクとして、さほど大きく捉える必要があるかは、甚だ疑わしい。



それよりも、turntableの最大の問題点は
自分で音楽をアップロードして流すことができること




これは完全にアウト





複製権と公衆送信権侵害になること間違いなし。しかも、侵害主体は利用者だから、利用者は絶対にこの機能を使ってはいけない。
昨夜、著作権フリー(無許諾利用可能)の音源をいくつか使って試してみたところ、アップロードした曲がそのまま使えるのは、2/3程度の確率。残りの1/3は別の曲と認識されて違う曲が流れた。理由は分からないが、曲データを解析している可能性も否めない。



なんにせよ、無許諾で音源をアップロードするのは極めてリスキーで犯罪行為。
この点に気をつけて、フロアを楽しみましょうね。

著作権法30条1項3号を読み上げてみた。可能なかぎり難解に。

日本レコード協会「著作権法30条1項3号読み上げコンテスト」を実施しているそうです。

著作権啓発キャンペーン「LOVE MUSIC」の企画として、著作権法の「ダウンロード違法化」に関する条文をユーザーが読み上げている映像を募集する

日本レコード協会では、この著作権法30条1項3号の周知を図り、違法な音楽配信の利用減少を目的として、読み上げコンテストをキャンペーン特設サイトで実施。一般ユーザーに対し、著作権法の該当部分をアニメキャラクター風や実況中継アナウンサー風など個性豊かに読んでもらい、ビデオや携帯電話などで撮影した映像を応募してもらう。応募期間は6月24日まで。

 応募のあった映像から、日本レコード協会会員社4社のアニメーション担当ディレクターを含む審査委員会が第一次選定を行い「最も印象に残る」応募者10人を選ぶ。10人の映像はキャンペーンサイトで公開し、一般投票によって最優秀者を決定する。最優秀者は、自身の声を携帯電話向けの「着ボイス」としてレコチョク公式サイトから配信することが可能となる。


誰得?!


とか思うわけですが。

id:mohno さんの「RIAJ はまともな広報を雇うべき。」というツッコミが刺さる(笑




でもどうせなので、読んでみました。


コンテスト募集要項によると、
著作権法30条1項3号とは、第3号だけでなく1項柱書も含むようで、
柱書と3号だけ読んでも、文としてつながらないので一つにまとめてみた。

それが、これ


著作権法第三十条第一項柱書及び同条同項第三号
著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合を除き、その使用する者が複製することができる。



んー、よく分かんないですよね・・・。

レコード協会によると、著作権法30条1項3号の周知を図り、
違法な音楽配信の利用減少を目的としているようですが、
これを読んだだけで著作権法30条1項3号の周知を図られ、
違法な音楽配信の利用減少が図られるのは難しいような気がします。


id:copyright さんの
「1つの条項だけを読み上げても、きちんとした理解は広まらないよ」
という指摘は的を射ているに違いないです。

なにせ、以前、送信可能化の説明で書き広げたように、
著作権法では条文の用語が入れ子になっていて難解極まりないですから。



なので、今回も用語に従った詳細な読み上げを試みましょう。



まずは「自動公衆送信」です。
自動公衆送信とか読んでもイミワカラナイですよねw

これについては以前に用語を解きほぐしたので、それを。

自動公衆送信とは

不特定又は多数の者によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことのうち、不特定又は多数の者によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことのうち、不特定又は多数の者によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信又は不特定又は多数の者によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことのうち、不特定又は多数の者によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信に該当するもの以外で不特定又は多数の者からの求めに応じ自動的に行うこと

です。

続いて「録音」とは、著作権法第2条第1項第13号によると

音を物に固定し、又はその固定物を増製すること


「録画」とは、著作権法第2条第1項第14号によると

影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製すること

のようです。


さて、問題は「複製」です。
著作権法第2条第1項第15号によると、複製とは

印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。
 イ、脚本その他これに類する演劇用の著作物 当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。
 ロ、建築の著作物 建築に関する図面に従つて建築物を完成すること。

ですが、上演や放送、有線放送は別途定義が定められているので、
それらを読み解くと以下のようになります。

印刷、写真、複写、音を物に固定し、又はその固定物を増製すること、影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製することその他の方法により有形的に再製し、脚本その他これに類する演劇用の著作物については当該著作物の演奏以外の方法により著作物を演ずること、不特定又は多数の者によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことのうち、不特定又は多数の者によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信又は不特定又は多数の者によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことのうち、不特定又は多数の者によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信を音を物に固定し、又はその固定物を増製すること、又は影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製すること、建築の著作物については建築に関する図面に従つて建築物を完成すること。



ふぅ。。。




長々となりましたが、それでは著作権法第30条第1項第3号を読み上げてみたロングバージョンです。


著作権法第三十条第一項ハシラガキ及び同条同項第三号
著作権の目的となつている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、著作権を侵害する不特定又は多数の者によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことのうち、不特定又は多数の者によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことのうち、不特定又は多数の者によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信又は不特定又は多数の者によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことのうち、不特定又は多数の者によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信に該当するもの以外で不特定又は多数の者からの求めに応じ自動的に行うこと(国外で行われる不特定又は多数の者によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことのうち、不特定又は多数の者によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことのうち、不特定又は多数の者によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信又は不特定又は多数の者によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことのうち、不特定又は多数の者によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信に該当するもの以外で不特定又は多数の者からの求めに応じ自動的に行うことであつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の音を物に固定し、又はその固定物を増製すること又は影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製することを、その事実を知りながら行う場合を除き、その使用する者が印刷、写真、複写、音を物に固定し、又はその固定物を増製すること、影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製することその他の方法により有形的に再製し、脚本その他これに類する演劇用の著作物については当該著作物の演奏以外の方法により著作物を演ずること、不特定又は多数の者によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことのうち、不特定又は多数の者によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信又は不特定又は多数の者によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことのうち、不特定又は多数の者によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信を音を物に固定し、又はその固定物を増製すること、又は影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製すること、建築の著作物については建築に関する図面に従つて建築物を完成することができる。